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よいクレーム環境

お客様がクレームを言いにくい環境をどうしたら「クレームをつけやすい環境」にしていけるかを考えましょう。

良いクレーム環境」を作っていくことためには以下のことを注意します。

(1)「どこにクレームを言えばいいのかわからない」
大手のスーパーなどではお客様対応のカウンターが設置され、様々なお客様からのお問合せに対応している。しかし、多くの小売店や接客サービス業では専門のスタッフもカウンターも設置していないでしょう。そのため、お客様はクレームをどこ行ったらいいのかを迷うことになります。

または、クレームを受け付ける担当もしくはクレームを最適な部署・スタッフに連絡していくシステムができていないならば、お客様はクレームを言いながらも、強いフラストレーションを感じるようになります。お客様の心の中には「私が言っていることは、この店(会社)にちゃんと伝わっているのか?」という疑念がわくでしょう。

このような状態を放置していてはクレームを掘り起こすことはできません。お客様のクレームに対して、お客様のクレームを聞き、それを商品サービスの改善に役立てていくということはクレーム処理の重要な目的ですが、それは「店(会社)本位」の考え方です。もう一つの重要な目的があるのです。それはクレームを下さるお客様が店や会社のクレーム対応に満足してもらうということです。「あぁ、勇気を出してクレームを言ってよかった」「あの店(会社)はちゃんと対応してくれる、信頼のおける店(会社)だ」という感想を持ってもらうことが大切な「お客様本位」のクレーム対応なのです。

そのためにはクレームを受けるける部門や担当者を設置するか、クレームの方法をお客様に明示的に、わかりやすく表示していくことが必要です。「クレームがあるなら、こうすればいいのか・・」と、全てのお客様に浸透させていくことが大切なのです。

クレームを受け付ける方法としては、対面以外にも電話、FAX、電子メール、ウェブサイト、手紙、はがき、投書箱などがあります。特に対面や電話などではスタッフ側がマゴマゴしているうちにお客様を待たせてしまう、もしくはお客様をたらいまわしにしてしまうという危険性があるため、「クレーム対応マニュアル」を整備して、クレームを受け付ける際にはそのように対応したらよいのか、クレームの内容によって、対応するスタッフや部門が異なるのであれば、連絡先をリストや樹状図にしておくことが必要でしょう。誰もが、一見してわかるような、明確なマニュアルを作ることが大切です。

(2)「常連だからこそ、言いにくい」
お店や会社に愛着を持ち、よく利用しているお客様(常連)は、もしかしたらお店(会社)のスタッフとも親しくなっているかもしれません。親しいとはいえないまでも、顔見知り程度の状態にあるかもしれません。このような常連のお客様からのクレームは極めてもらいにくいです。何よりも、お客様の方でクレームを言うことを控えてしまうのです。スタッフと親しくなり、世間話や趣味の話もするようになると、不満や苦情があっても、「あの人とは仲良しだし、こんなことを言ったら嫌われてしまうのではないか?」とクレームを飲み込んでしまうことでしょう。

いわば、お友達状態になることで、クレームが出にくい状態に陥っているのです。常連ばかりのお店は確かにロイヤリティの高いお客様がいるため、つぶれたりしないでしょうが、常連以外のお客様が近寄りづらい環境を作り出す危険があります。「お友達向けのお店」はよく見受けられます。これもお店のあり方として合理性があるとは思いますが、一般的には常連さんがたくさんできて、お店に無批判なお客様だけに利用してもらうお店はよくありません。

そこで、常連さんからのクレームをどのように掘り起こすのかが問題となります。できるならば、(1)で挙げたように、クレームの受付方法をお客様に提示するのみではなく、匿名で気軽な投稿ができるような心配りをして、常連さんとスタッフ間の信頼関係を壊さないようなシステムを作ることも必要です。

(3)お客様・スタッフ間の信頼関係
塾など、クレームを言うことでお客様(の子ども)に不都合が加わるのではないかという危惧がお客様に起きるような場合、お客様の不安感を払拭するようなクレーム受付システムを整備する必要があるでしょう。例えば、クレームを受け付ける際にお客様個人が特定できないようにするなどです。また、スタッフのサービスに欠陥があるのであれば、その改善は「クレームが寄せられたから」ではないように上司や責任者がスタッフに伝えることが必要です。

このようにお客様とスタッフ間の信頼関係が必要となるお店、会社ではスタッフへの改善の働きかけ・教育も配慮しなければいけません。スタッフも人間ですので、感情的に反応する人もいるでしょう。いわば、お客様とスタッフという当事者間の緩衝材としての役割を果たすクレーム担当者を明確に設置して、問題が起きないようにしておくことも必要となります。