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サービス品質に基づいたクレーム対応

クレーマー対応、クレーム対策は製造業、サービス業を通じて必要なことですが、特にサービス業にとって、クレーマー、クレーム・苦情に対する対応・対策は製造業とは異なる側面があります。製造業におけるクレームや苦情は基本的に製品という物的な裏づけがあり、その製品をお客様が満足する形へと導いていくことが主眼です。

サービス業におけるクレーム・苦情は、サービスという無形物を扱うことから、物的な裏づけが薄く、お客様の心的な側面が重要になるのです。その点で、製造業のクレーム対策、クレーマー対応よりは難しい点があるといえるでしょう。

そこで、目に見えないサービスをちゃんとした基準で把握し、クレームがあったのはサービスの質のどの部分なのか究明していくことが大切です。

Parasuramanという研究者は、サービスの品質を評価する基準として次の5点を提示しています。
(1)信頼性(Reliability)
(2)反応性(Responsibility)
(3)確信性(Assurance)
(4)共感性(Empathy)
(5)物的要素(Tangibles)

信頼性とは、店や会社がお客様に「約束したこと」(いわゆる「こういうサービスを提供します」という暗黙の約束です)をちゃんと提供できるかどうかということです。カフェで言えば、

「ちゃんと注文を受け付けてくれるか」
「注文したものがちゃんと提供されるか」

といったサービスが約束されているわけです。このような約束がちゃんと守られるのかどうかはサービスの質を見るとき、大切になります。

反応性とは、店や会社が提供するサービスが迅速かどうかということです。約束されたサービスが提供されるにしても、ぐずぐずとしたサービスでは満足できません。

確信性とは、店や会社のサービスには「外れが無い」とお客様が確信できるかどうかということです。

共感性とは、お客様の問題を親身になって対応してくれるサービスを提供しているかどうかをいいます。実際に店や会社がお客様に共感するということは難しいので、お客様が「店や会社が共感して、親身に対応してくれている」と感じることができるくらいの、丁寧で、懇切、細部にいたる心遣いができるかということです。

物的要素とは、サービスにも物的な要素が重要ですということです。カフェでは店内のインテリアや食器などの物的要素が関係してきます。単にきれいであればよいという問題ではなく、田舎料理の店がファミレスのようなインテリアではおいしく食べれません。やはり木造で、少しくたびれた雰囲気がいいでしょう。サービスと物的要素がフィットしている必要があるということです。

クレームや苦情がもたらされたときには、迅速にお客様に対応し、満足していただくのと同時に、「なぜ、そのようなクレーム・苦情が起きてしまったのか」ということを明確にするために、5つの基準を踏まえてスタッフと話し合っていく必要があるでしょう。

この5つの基準をふまえ、サービスへのクレーム・苦情をサービスの改善に役立てましょう。