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クレーム・クレーマーからのストレスをどうやって癒すか

クレーム・クレーマー対応の担当者であれば、職務上、やむを得ず、クレーマーとの不愉快な場面に当事者として立ち会わなければいけません。それは相当なストレスになるでしょう。特に、「モンスター」と呼ばれるような、理不尽なクレーマーに対応すると大きな精神的な負担を感じるでしょう。

精神医学では、ストレスを引き起こす原因となるものをストレッサーと呼びます。同じ強さのストレッサーがあっても、そこからどのようなストレスを感じるかは、個々人の脳が判断します。この反応は遺伝や環境からの影響で左右されます。同じクレームを処理したとしても、スタッフAはストレスを感じないのに、スタッフBは強いストレスを感じるというように、ストレスを感じるか感じないかは、人それぞれなのです。

悪質なクレーマーやクレームに直面し、強いストレスを感じたとしましょう。

ストレスを感じるか・感じないかは、それぞれの脳が判断することで、その判断をする脳の考え方を転換することでストレスを感じなくなるのではないかという治療法があります。

「私はいい社員にならなければならない」
「私は取るに足らない、能力のない人間だ」
「こんな難しい仕事は私にはできない」

など、人が持っている思い込みや信念、非論理的な考え方をリセットしてしまうことなのです。このような無意識な考えが人格や性格を形作っているのですが、この考え方や思い込みがストレスを感じやすくするともいえるのです。

重要なことは、受けたストレスに対して対抗できる強い心を持つことで、それが非論理的な考え方のリセットなわけです。

悪質なクレーム・クレーマー対応をしたことで、大きなストレスを感じているスタッフの頭の中では、

「私がまごまごしているから、クレーマーに漬け込まれたんだ」
「こんな悪質なクレーマーに対応すすることはできない」
「あんな悪質なお客なんていない。あの人は悪人だ」

などなど、様々な考えが渦巻いているでしょう。

しかし、これらの考えは特に「科学的なもの」ではなく、個人個人の思い込みによって作り出された意見です。この思い込みに縛られているからこそ、クレーマーから強いストレスを感じてしまうのです。

もし「私がまごまごしているから、クレーマーに漬け込まれたんだ」と考えているなら、
「いや、私は100%努力した。それでもうまくクレーマーを対処できなかっただけだ。クレーマーが特に悪質なだけだ。もしくはマニュアルに欠点があるのだ」

と考えるように、周囲の人が促しましょう。

また、「こんな悪質なクレーマーに対応することはできない」と考えているなら、

「今回のクレーマーはそれほどひどくない。十分に対応できるレベルのクレーマーだ。ちゃんと決然と対応すれば、問題を解決できる!」

と考えさせます。

「あんな悪質なお客なんていない。あの人は悪人だ」と考えているなら、

「悪人というほどひどくない。きっと、不幸な環境にあるからうさばらしに苦情を言っているに違いない。店やスタッフに恨みがあるわけではない」

と考えるように促しましょう。

すでにお気づきと思いますが、周囲の人が「思い込みの沼の中から救い出さなければならない」のです。本人はこの沼から自力で這い出てくることはありません。なぜなら、強い信念だからです。この思い込みを自分で転換することができないのですから、周囲の人、特に上司がケアしなければいけません。

クレーム・クレーマー対応のスタッフをちゃんと観察し、ストレスを受けていないか配慮し、もしそのような兆候があるなら、「思い込み」から救い出すように努めましょう。