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クレーム・コミュニケーションに必要な辞書

クレーム処理・クレーム解決がスムーズに進むかどうか、それはお客様がクレーム・苦情をくださったとき、スタッフとのファーストコンタクトがどうだったかによって決まるといっていいでしょう。

スタッフの対応が傲慢だったり、雑な対応をしたりすると、お客様の心に店や会社に対する悪感情が生まれ、本来はスムーズに処理できるようなクレームであっても、「誠意を見せろ」など、感情的な問題へと発展してしまい、大ごとになってしまいます。

ファーストコンタクトこそが、クレーム・クレーマー対応の要であるといえるのです。できるだけ、好意・好感の持たれる対応を心掛ければ、クレーム処理の効率は大きく向上します。

しかし、そもそも第一印象、ファーストコンタクトを、誰しもが好意を持てるようなものにすることはできるのでしょうか?

ここでは「コミュニケーション技術」という視点から考えてみましょう。

コミュニケーション(communication)とは、「意思疎通」「情報伝達」ということです。複数の個人や集団の間で「共通・共有した規則(コード)」に基づいて、メッセージ(意思や考え、感情)を伝えることなのです。

ここで重要なことは、コミュニケーションをするときには、コミュニケーションをとりあう者たちが「共通・共有した規則」を持っていることが必要なのです。

たとえば、田中さんは「A」というメッセージを山田さんに送ったとしましょう。田中さんにとって、「A」は「悲しい」ということを表しています。

しかし、山田さんは「A」を「楽しい」と理解しました。まったく違う訳し方をしたことになりますね。この「訳す」ときの辞書が「規則」なのです。もし、田中さんと山田さんが同じ辞書を持っていれば、「A」を同じ意味に理解することができるでしょう。しかし、田中さんと山田さんは別の辞書を持っていたために、田中さんの意図した意味を山田さんは読み取ることができなかったのです。

コミュニケーションをとるときには、メッセージを伝えようとする「発信者」とメッセージを受け取る「受信者」が共通の辞書をもったいなければ成り立たないのです。


「クレームを持ってこられたお客様とクレーム対応スタッフの間で共通の辞書を持つべきだ」といっても、お客様が日本人で、スタッフも日本人であるならば、よほど育った環境が違わない限り、十分コミュニケーションをとることができるでしょう。しかし、「クレームを解決する」という点に限ってみると、両者は「共通の辞書」を持つことが難しいのです。

お客様は「不満を解決してほしい」と考えているのですし、スタッフは「できるだけ譲歩はしたくない」と考えているのですから。

スムーズなコミュニケーションをとるために、互いに歩み寄ればいいのですが、お客様は神様です。さらに、お客様に不満を持たせてしまったという店や会社側の不手際もあります。スタッフ側がお客様に歩み寄るというスタンスが必要です。お客様の「辞書」を理解して、できる限り、「お客様の辞書」を使ってコミュニケーションをとる必要があるのです。

サービス業の基本としてよくいわれる「お客様の立場に立つ」とはこのことなのです。クレーマー対応・クレーム対策においても、「お客様の立場に立つ」ということは基本中の基本です。

製品やサービスに不満を持たれているお客様が「どのように考えているのか」「どんなふうに感じているか」を考え、想像すること、それがクレーム対応のスタッフに求められる能力なのです。

たとえ、それが悪質なクレーマーであってもです。