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クレーマー分類:発言者と消極者
実際にお客様のクレームに対応していると、「こんなクレームを聞いていて、本当に経営に役立つのだろうか?」「自分が悪いわけでもないのに、嫌になるなぁ」と感じることもあるでしょう。
確かに、スタッフ個人としては、そのように感じるのは当たり前のことです。しかし、経営という視点から言えば、一つのクレームも無駄なものはありません。一つ一つが大切な資源であり、スパムは存在しないのです。
しかし、実際にクレームに対応するスタッフは自分の心を強くするための知識やスキルをつけておく必要があるでしょう。「敵を知り、己を知らば、百戦危うからず」という古(いにしえ)の言葉もあります。クレームを下さるお客様のことを知れば、クレームに対応することも苦しくはないようになるでしょう。
クレームを下さるお客様を会えて区分すると、4つに分けて考えることができます。「発言者」「消極者」「激怒者」「積極行動者」です。以下、それぞれについて説明します。
今回は、「発言者」「消極者」です。
発言者にカテゴリーされるお客様は、お店や会社の商品サービスを利用することで感じた不満をクレームとして提供してくれるお客様です。
いわば理念的・理想的な形のお客様です。発言者がクレームを言う目的は純粋に「お店(会社)に商品サービスを改善してもらう」ことであり、どのような不満があるかについて、他の場所でうわさを流したりするようなことはしないタイプです。
サービス改善に一番貢献してくれる、お店(会社)の見方と考えていいでしょう。しかし、このような理想的なお客様である発言者に対して不適切な対応をしていると、発言者はお店(会社)に敵対的な存在になっていくことも考えられます。お店(会社)にとって好意的な存在である発言者として、今後もいてもらうために、クレーム対応を最適に行うことが必要です。
消極者は、別名「日和見主義者」であり、お店(会社)にクレームを言わないし、他の場所でもお店(会社)への不満を口にすることはない。
彼らがどのように不満に思っても表現することは稀なのです。彼らからクレームなり、意見を引き出すことは極めて難しいでしょう。しかし、日和見主義者といわれるように、何かしらのきっかけでお店(会社)から離れてしまうでしょう。
物言わずに立ち去るタイプのお客様なのです。消極者にクレームを言ってもらうための努力は常に行わなければならないのです。多くの場合、消極者はお客様の多数を占めます。多くのお客様はお店(会社)の商品サービスに敏感ではありません。
人間はそれほど繊細に全てのことに気を配ることはできないのです。接客サービスの質についても深くは考えていないわけです。彼らの注意を集められるような商品サービス、経営を行い、クレーム環境を改善し、消極者から発言者に成長してもらうようにスタッフが努力していかなければならないのです。
参考文献
ジャネル・バーロウ、クラウス・モレール、井口不二男(訳)「苦情という名の贈り物 」(1999年、生産性出版)