モンスター・クレーマー
学校の給食費未払いやモンスターペアレント、そして、悪質なクレームを常習的に行っている人々など、かつてはあまり考えられなかったような非常識な人が目立つようになってきました。
このような社会全体のマナーや常識の低下・欠如はクレーム対策の担当者にとってなかなか難しいことです。
悪質なクレーマーが増えれば、それだけクレーム担当者の仕事量や精神的負担も増大することになります。クレーム担当者とて人間です。無尽蔵に悪質クレームに対応するエネルギーがあるわけではありません。
しかし、ここで忘れてはならないのは、クレーマー、クレームを下さるお客様の99%は経営に必須の情報を下さる大切な顧客であり、企業の宝なのです。
確かに、非常識でモラルが欠如した人々の増加が目立ちますが、それは本当に例外中の例外であり、彼らを恐れるあまり、本当に苦言を呈してくださるお客様まで遠ざけてしまうことになるのは企業にとって悲劇です。
とんでもない人はいつでも、どこでもいるものです。それに、彼らの立場に立って考えてみれば、もしかしたら、いやなことがあって当り散らしているだけかもしれません。同情するような環境にあるのかもしれません。
クレーム担当者は何よりも99%の良質なクレーマーを大切に扱い、満足してもらうように精一杯努力しなければならないのです。
そして、1%の悪質なクレーマーに対しても、臆せず、断固とした対応を行い、できれば彼らもお客様として末永い関係を築いていけるようにします。
もし、悪質クレーマーにうまく対応できないと・・
突然振って湧いた災難のように悪質クレーマーを扱い、腫れ物を触るように対応していてはいけません。そして、「あんな客は来なくてもいい!!」という意識を持ってはいけません。そのようなスタッフの意識や考え方はすぐに態度や行動に表れてきます。
そのようなスタッフの態度を見て、悪質クレーマーが「邪険な扱いを受けた」と受け取ったらどうなるでしょうか?きっと彼らは次なる行動をとることになるでしょう。
ここで忘れてはいけないのは「お客様は次のお客様を連れてくる」ということです。お客様の中で生まれた評判はお客様の行動を刺激するのです。
悪質クレーマーは積極的に企業の悪評を流すことになるかもしれません。これはこれで悪夢の結末ですが、もう一つ危機的な結末が考えられます。それはクレーム対応に戸惑っている企業側の能力のなさが他のお客様に、企業への不信感として高まっていくというものです。
どのようなクレームであっても、適切に、そして迅速に対応なければ、付随的にお客様を失う危険性を高めてしまうのです。
重要なことは、マナー欠如でも常識がなくても「お客様はお客様」ということです。
まったく道理に合わないことを苦情として持ち込んだモンスタークレーマーへの企業側の丁寧な対応が、他の良識あるお客様を呼び込むことにもなるのです。
正負の法則ともいえるでしょう。悪いことがあれば、いいことも同じだけあるのです。スタッフが進んで困難に立ち向かえば、スタッフのクレーム対応スキルが向上していきます。
ただし、非常識・モラル欠如のモンスタークレーマーに対して、他の良質なクレーマーと同じように対応してしていても、スタッフの負担がいたずらに増えていくだけです。
そこで、モンスタークレーマーの専門の担当者を置くことが必要です。通常の苦情・クレームなどは一般の非専門スタッフでも十分に対応できるように教育していき、モンスタークレーマーに対しては専門性を高めたスタッフを用意していくような体制を築けたらよいでしょう。